(5) 不等式
cn = (n+1)
∫
1
0
xncosπx dx のとき、
cn+2 と cn の関係、
cn、
cn+1 – c
cn – c の極限の問題。
(1) では、被積分関数が xn ×三角関数 で、cn+2 と cn の比較なので、2回部分積分をすることが連想される。実際、その計算で
関係が導かれる。
(2) では、(1) の結果である cn+2
= – (n + 3)(n + 2)
π2(1 + cn)
を使うはずである。この式をよく見ると、少しおかしなことに気づくかどうかが
ポイントになる。それは、nが大きくなると(n + 3)(n + 2)π2がどんどん大きくなり、
cn+2とcnの差がどんどん開き、cn が
収束しないのではと思われる(収束する場合は差が小さくなる)ことである。
このような状況が起こらないのは (1 + cn) → 0 のときで、よって
cn → –1 だろうと予想がつく。あとはこれを証明する必要がある。
そこには少しテクニックが必要になる。式を変形すると、
cn
= – π2
(n + 3)(n + 2)cn+2 – 1 となり、
n → ∞で、π2
(n + 3)(n + 2) → 0 なので、
cn が有界、すなわち ∃a ∀n. –a ≦ cn ≦ a が
いえれば、cn → –1 がいえる。
この有界を示すのに積分での不等式を用いる。
その基本的用い方は、a ≦ x ≦ b で
f(x) ≦ g(x) なら
∫
a
b
f(x) dx
≦
∫
a
b
g(x) dx である。
この問題の具体的な用い方は、解法を参照してほしい。
(3) では、やはり (1)、(2) の結果を用いるはずである。
実際にそれらの結果を当てはめれば、自然に導かれる。
∫
β
α
sin x dx +
∫
π–α
π–β
sin x dx > (β–α)(sinα + sin(π–β)) を示し、
これを用いて
Σ7
k=1
sin kπ
8 < 16
πを示す問題。
(1) では、丁寧に図を描いてみると、この不等式が何を意味しているのかがわかる。
即ち、区間 [α、β] で、y = sin x は端点を結ぶ直線より上にあり、
同様に、それと対称な位置にある区間 [π – β、π – α] で、y = sin x は端点を結ぶ直線より
上にることが示せればよい。この関係は y = sin x の凸性から導かれるもので、
その凸性を示すためには、凸性のルーチンな証明を行えばよい(2回微分して示す)。
(2) では、(1) の結果をどう使うかが問題になる。8個の和をとっているので、
8分割して (1) を使えば良いと想像できる。積分区間をつなげるところがポイントである。
an = ∫
1
0
(1 + x)–n–1ex2 dx、
bn = ∫
1
0
(1 + x)–n xex2 dx のとき、
bn ≦
∫
1
0
(1 + x)–n dx を示し、bn、nan
の極限を求める問題。
不等式は、被積分関数をよく見比べて、0 ≦ x ≦ 1 で xex2 ≦ 1 が
言えればよいことがわかる。 そして、bn の極限は、
不等式の右辺の積分を計算して極限をとると"挟み撃ち"で求められる(→ 0)。
nan の極限は、an と bn を
「部分積分を利用して結びつける」ことで求まる。この発想は
問1でも利用さており、要注意である。