(4) ベクトル, 垂直, 内積
2つの直角三角形の斜辺を貼り合わせ、その斜辺と対辺が垂直になる4面体に関する問題。
Aを起点とするベクトルで条件を表すと、直ちに解ける。すごく簡単な問題である。
正八面体の中点を結ぶどのベクトルとも直交しないベクトル v があったとき、
ある頂点を起点とする他の全ての頂点に向かうベクトルとvの内積が負に
なることを示す問題。
数学でよく使う発想を証明の中で利用する能力を見ている。それは、有限個の要素の集合から一つづつとって並べていくと必ず同じものがでてくるという当たり前の原理である。
当たり前だが、きちんと意識していないと必要なところでなかなか使えないものである。
この発想により、ループあるいは周期を作ることがしばしばある。
もう一つ重要なことは、背理法を使うことである。特にこの問題のような∃∀型の命題には
有効である。否定をとって∀∃型にすると、証明の中で、∀∃で保障されるある種の
関数が使えるようになり、議論しやすくなる。∀x∃y. P(x, y) は、ある関数 y = f(x) があって、
それが P(x, f(x))を満たすことを表している。この解法では m1、m2、... が 関数 m(k) (k = 1, 2, 3, ...) を表している。
上記の2つのポイントに関して、議論の仕方を解法で確認して慣れてほしい。
2つの定ベクトルと動ベクトルがなす角α、βの満たす条件 (cos で表現)についての問題。
(1) は、c も座標で表して、内積をとおして cosと座標を関連付け、
計算してみると幸運にも結果がでてきた。やってみるしかない問題である。
(2) も、どうしてよいかわからない。cos α の2次不等式と思って解いてみたら、
たまたま簡単な式になった。あとは cos に関する不等式を丁寧に解いていくだけである。
この不等式を解くには慎重な作業が必要で、解法でその流れを習得してほしい。
どちらもたまたまうまくいった解法である。
4面体の輪の形をなす4辺上の4点が平行四辺形をなすとき、それ以外の辺の
中点と平行四辺形の中心が一直線上にあることを示す問題。
一次独立性を利用することが想定されるので、4面体の一つの頂点を
起点にして、問題をベクトル表現する。平行四辺形をなす条件は、
「対辺の関係になるベクトルが等しい」と表される。あとは計算するだけの
簡単な問題である。
4面体の各対辺が垂直なとき、その重心を中心として全ての辺の中点を通る球面が存在することを証明する問題。
対称性を意識して議論を進める (一次独立性を利用する問題ではない) 。
ベクトルの起点となる点Oを設けて、状況を対称的に表現する。
そすると、重心Gは対辺各々の中点を結ぶ線分の中点であることがわかる。
一方、幾何学的な考察で中点連結定理から、4つの中点が平行四辺形を
なすことがわかる。これがこの問題のポイントである。
以上より、Gは中点のなす平行四辺形の中心であり、Gを中心とした
4中点を通る球面の存在がわかる。