京大は円周角に関する出題が比較的多い。円周角の定理は、少し不思議な定理なので このことは納得できる。一見複雑な問題もあるが、すべての情報を図に書き込む方針で 望めば、それほど難しくはない。

問1

外接円と一つの角が定まった三角形の内接円に関する問題。

(1) に関して、内接円がでてきたら、まず接点と円の中心をむすぶ線分を描き、その線分と円に接する辺のなす角が90°の情報を書き込む。次に、三角形の頂点と内接円の中心を結んで頂点の角を等分する合同な三角形を認識する。同じ角になる部分は、同じパラメータを書き込み、状況が把握しやすいようにする。これらの準備をして問題を考えるとよい。

(2) は、もちろん (1) を利用して解く。(1)から ∠BPCが一定であることがわかったから、 PはBCを弦とする円上を動くことがわかる。この認識が重要である。そして、∠BPCは∠Aの2倍なので、円周角と中心角の関係から、その円は、外接円の中心を通ることがわかる。 一方、内接円の半径はPとBCの距離になる。以上の情報から半径のとりうる範囲は わかるはずである。鋭角三角形であることにも注意する。Pが端に寄りすぎると∠Cは鈍角になる。ぎりぎりの境界は∠Cが90°のところである。



問2

円周角を利用して反例をつくる問題。

(1) は、円周角と中心角の関係を考えれば難しくない。

(2) は、反例を作る。前提を満たして ∠C = ∠D となる例を作ればよい。 ∠C = ∠D を円周角から導くために、A、B、C、Dを同じ円上にすればよい。 あとは、前提を満たすA、B、C、D の配置を探す。なるべく簡単な 設定で考えることがポイントである。



問3

円周角を利用して、直線上の動点Pが2定点A、Bとなす角∠APBの最大値を求める問題。

初等幾何の結果が使えるところは、それを使った方が計算で処理するより 議論がずっと簡単になることが多い。例えば、この問題を余弦定理を使って 考えようとすると、相当に複雑な式が出てくる。

円の弦を底辺とした三角形の頂点Pが円周上を動いても∠Pが変わらないのが 円周角の定理であった。それに加えて、Pが円の外に出たら∠Pは円周角より 小さくなり、円の内側に入ったら円周角より大きくなることも理解しておくこと。 そうすると円周角の応用範囲が広くなる(解法を参照)。



問4

3つの円が1点で交わるとき、交点と中心が同一円上であることを示す問題。

かなり複雑な問題である。丁寧に図を描いて、円周角の定理をフル活用し、角度が同じところは同じ記号を使って、その情報をすべて図に書き込む。また、2つの円の交わりを論じるときは、その交点を結ぶ直線Lと中心どうしを結ぶ直線が直行することも必ず使うはずである。それにより、Lの両側に2組の合同な直角三角形ができることも認識する。これらの準備のもとに問題を考えてみるとよい。



問5

三角形の角の2等分線と外接円の交点がなす三角形にまつわる問題。

これも、円周角からわかる同じ角度の情報をすべて図に書き込むことから 始まる。そうするとAA'⊥B'C' が簡単に示せる。