(4) 素数ベキの処理 [基本α]
3a−1が2の何乗で割れるかの問題。
すぐに方針の浮かぶ問題ではないので、やはり小さなnの値で
状況を調べて、ヒントをさぐる。そうすると、すぐに方針が
浮かんでくる。
整数問題を扱うときの重要な手法として、[基本1]、[基本2]、[基本3]
のスタンダードなものに加えて、p進展開というものがある[基本α]。
よく知っている 10進展開とは、1253 = 3 + 5・10 + 2・102 + 1・103 というように、10のべきの項の和で整数を表現するものである。
353 = 3 + 5・10 + 3・102 で、
1253 ー 353 = 9・102 = 900 は 102で割り切れる
(双方の展開で一致している3 + 5・10 + 2・102が引き算で消えることに
着目する)。
同様に、素数7による7進展開を考えて見る。
11368 = 1・72+5・73+4・74。
23373 = 1・72+5・73+2・74+1・75。
11368、23373はともに"丁度" 72で割れることはわかる。それでは、
23373–11368は"丁度" 7の何乗で割れるか? 72で割れることは当たり前だが、
7進展開を見ると、引き算で72の項と73の項が消えて、
74の項が残るので、"丁度" 7の4乗で割れることが直ちにわかる。
整数問題を解くときに、整数aを素因数分解することが非常に重要なことは周知のとおりである。aの素因数分解は、各素数pで見たら、aは丁度 pの何乗で割れるかを求めることである。そして、a, b が丁度 pのn乗で割れるとき、a – b が丁度 pの何乗で割れるかに関わる
問題が整数の理論を展開する上で頻出する。その問題を見通しよく扱うアプローチとして
p進展開が大きく役立ち、そのような背景もあってこのアプローチが使えるかをみる
試験問題もときどき出てくる。
p進展開の議論では、しばしば二項展開が援用されるのでその点も留意しておく。
本解法でも、二項展開を多用している。
また、本問題の解法に現れる展開は、厳密な意味でのp進展開ではないが、
同様の精神で利用されている。
○練習問題:a = 3・7+4・72、b = 3・7+2・72+1・73のとき、b – a は丁度7の何乗で割れるか?
○練習問題:a = 3・7+4・72、b = 4・7+2・72 のとき、a + b は丁度7の何乗で割れるか?
a2+7が2の何乗で割れるかの問題 (+ 「どちらかが倍数」)。
「aかbがcで割り切れる」という主張を言い換えると、
「aがcで割り切れなければ、bがcで割り切れる」ということになる。
この問題の場合、「aがcで割り切れない」条件は、
f(a)=2nk (kは奇数) となる。あとはkが奇数であることを
フルに利用して証明する。2の何乗で割れるかという問題なので、
偶数、奇数の演算が議論されているが、これは mod 2 で処理している
のと同じである。従って 素数pの何乗で割れるかという問題であれば、
mod p で議論すればよい。
京大の問題で、出題が (1)、(2)と分かれていたら、基本的には (1) は (2) を
解くためのヒントと考えてよい。したがって、(2)を解くときは(1)を
どう利用するかに意識を集中する(東大の場合は、(1)は部分点を
与えるための設問で、(2)のヒントになっていない場合が多い)。