整数の大きな特徴に、離散性がある。これは、xが整数で 例えば 2.5 ≦ x ≦ 7.3 と範囲が 定められると、x = 3, 4, 5, 6, 7 の5個の候補にしぼられるという性質である。xが有理数や実数であれば範囲を定めても、候補は無限にある。候補が少ない数に絞られれば、それらを すべて調べればよい。

問1

tanの加法定理から整数p、qの整式を導いて解く問題。

この問題は少し手強い。よいヒントを得るには、整数問題の 基本アプローチをしっかり認識して問題の状況を調べることが 必要である。

tan(α+2β)を加法定理で展開することはすぐに思いつく。 得られた p、qの2変数の多項式からその自然数解を求める 問題に帰着される。これを解くには、基本アプローチ1の因数分解か 基本アプローチ2の変数の範囲を絞って候補を出すかのいずれかである。

適当な因数分解は見つからなかった。qの2次式なので、qの実数条件から 不等式を導こうとしたがこれも上手くいかない。そこでpの式として考えてみる。 得られた式はpの1次式になる。ここでも、どう手をつけてよいか わからないので、q = 1, 2, 3, ... を代入して様子を調べる。 そうすると、qが大きいと pの係数が左辺の定数より大きくなることが わかってくる。そうすると p < 1 となり、pが自然数に反することがわかる。 ここまでくれば、もうどうすればよいかはみえてくる。即ち、p ≧ 1 の条件から qの範囲が小さく絞られるのである。

○練習問題:p、qは自然数で、(q2+4)p = 4q + 1 を満たすp、q ?
○練習問題:p、qは自然数で、2≦p、(q2+2)p = q2+4q+1 を満たすp、q ?



問2

4つの整数a、b、c、dの整式を解く問題。

整数問題を解くとき、「素数」という言葉には非常に敏感になる必要がある。 ab が素数pで割り切れれえば、aかbがpで割り切れるという性質 (素数の定義)は、 いろいろな場面で大きく役立つ。テーマ I-a-(1) にしたがって、因数分解するのが 基本である。

この問題のハイライトは⑤の扱いである。2次方程式の実数解の条件から 変数の範囲をしぼる定型的なアプローチでうまくいかない場合は、 やはり様子を調べてヒントを探ることが必須である。