(3) 変数の範囲をしぼる [基本3]
問1
tanの加法定理から整数p、qの整式を導いて解く問題。
この問題は少し手強い。よいヒントを得るには、整数問題の
基本アプローチをしっかり認識して問題の状況を調べることが
必要である。
tan(α+2β)を加法定理で展開することはすぐに思いつく。
得られた p、qの2変数の多項式からその自然数解を求める
問題に帰着される。これを解くには、基本アプローチ1の因数分解か
基本アプローチ2の変数の範囲を絞って候補を出すかのいずれかである。
適当な因数分解は見つからなかった。qの2次式なので、qの実数条件から
不等式を導こうとしたがこれも上手くいかない。そこでpの式として考えてみる。
得られた式はpの1次式になる。ここでも、どう手をつけてよいか
わからないので、q = 1, 2, 3, ... を代入して様子を調べる。
そうすると、qが大きいと pの係数が左辺の定数より大きくなることが
わかってくる。そうすると p < 1 となり、pが自然数に反することがわかる。
ここまでくれば、もうどうすればよいかはみえてくる。即ち、p ≧ 1 の条件から
qの範囲が小さく絞られるのである。
○練習問題:p、qは自然数で、(q2+4)p = 4q + 1 を満たすp、q ?
○練習問題:p、qは自然数で、2≦p、(q2+2)p = q2+4q+1 を満たすp、q ?
4つの整数a、b、c、dの整式を解く問題。
整数問題を解くとき、「素数」という言葉には非常に敏感になる必要がある。
ab が素数pで割り切れれえば、aかbがpで割り切れるという性質 (素数の定義)は、
いろいろな場面で大きく役立つ。テーマ I-a-(1) にしたがって、因数分解するのが
基本である。
この問題のハイライトは⑤の扱いである。2次方程式の実数解の条件から
変数の範囲をしぼる定型的なアプローチでうまくいかない場合は、
やはり様子を調べてヒントを探ることが必須である。